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サブリナ

06/03/2020 08:19:31, , ニック ドルナソ

によって ニック ドルナソ
4.8 5つ星のうち 8 人の読者
ファイルサイズ : 24.06 MB
内容紹介 グラフィックノベル初のブッカー賞ノミネート作品ある女性が失踪した。その後、彼女に関する衝撃的な映像を収めたテープが新聞社に送られてくる。その映像はインターネットを席捲し、噂や憶測、陰謀論が湧き上がる。ゼイディー・スミス、エイドリアン・トミネ絶賛。現代社会を映し出す傑作グラフィックノベル。 【メディア紹介続々! 】 朝日新聞(2019/10/30)文芸時評--小野正嗣氏 TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(2019/11/6)カルチャートーク――カラテカ矢部太郎氏 マンバ通信(2019/11/8)ーー原正人氏 朝日新聞(2019/11/10)エンタメ地図 おすすめ3冊――円城塔氏 週刊ポスト(2019/11/11)書評――鴻巣友季子氏 共同通信(2019/11)記者のおすすめ NHKラジオ第1「すっぴん! 」(2019/12/2)ーートミヤマユキコ氏 産経新聞(2019/12/8)書評ーー浅暮三文氏 本の雑誌(2020/1月号)書評ーー林さかな氏 BRUTUS(2020/1/1・15号)ーー原正人氏 女性セブン(2020/1/2・9号)「2019年の3冊」――トミヤマユキコ氏 読売新聞(2019/12/22)「2019年の3冊」ーー村田沙耶香氏 フリースタイル44(2019/12/25)「THE BEST MANGA 2020」18位 婦人公論(2020/1/28号)「BOOK」――豊崎由美氏 文藝(2020年春号)書評ーー木澤佐登志氏 THE NIKKEI MAGAZINE STYLE Ai (vol.206)書評ーー山崎まどか氏 朝日新聞(2020/1/11)読書面ーー横尾忠則氏 内容(「BOOK」データベースより) 仕事から帰る途中にサブリナが行方不明になって、ひと月が経った。心配のあまり不安定になった彼女の恋人テディは、遠方に住む幼馴染カルヴィンの家に身を寄せる。サブリナの妹サンドラは、姉に何が起きたかが判明するのを苦しみながら待っていた。そしてある日、衝撃的な映像を収めたビデオテープがメディア各社に送られる―グラフィックノベル初のブッカー賞ノミネート。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) ドルナソ,ニック 1989年生まれ。イリノイ州パロス・ヒルズで育つ。デビュー作Beverlyはロサンゼルス・タイムズ文学賞(最優秀グラフィック・ノベル部門)を受賞。妻とともにシカゴに暮らす 藤井/光 同志社大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 続きを見る
ファイル名 : サブリナ.pdf
サブリナを読んだ後、読者のコメントの下に見つけるでしょう。 参考までにご検討ください。
「うわあああ!!」(48頁)「あああ!」(65頁)「キンコン」(91頁)ピンポン「こんこん」(91頁)ドアをノックする音「うわあああああ!」(116頁)「BANG BANG」(202頁)バンバン。拳銃の発射音?違う、酔っ払い男がドアを拳でたたく音こんなにも<叫び声>や<騒音>があふれている漫画なのに、音が消えると、よけいに無音を感じさせる漫画小説です。人も突然消えると、よけいにその人の存在を感じる。サブリナ、どこへ行っちゃったの?《備考》この漫画小説は、読者が自分なりにストーリーを解釈しながら、信じる方向に、つじつまが合うように補っていく必要がありそうです。登場人物の顔が、どれも似通っていて、いろいろなストーリーが可能です。例えば、殺人事件として読んでみたらどうなるでしょう。サブリナが消えた。この事実だけで、もしかして殺されたのでは?と考えると、犯人は?遺体は?証拠は?「サブリナが消えた」は、本書に付いている「帯」のキャッチコピーです。この本のないようは、サスペンス小説の漫画ではないようです。現代の情報社会の問題点を指摘した小説風の漫画ではないかと思います。現代の情報社会には、<フェイク>情報が氾濫しています。ただただデタラメな情報だけでなく、巧妙に偽造、偽装され、権威付けられた情報もたくさん流れています。最初は<アハハ>と笑うしかない幼稚な偽物情報でも、時間が経つと偽物であることを忘れてしまい、うっかりだまされてしまうことだってあります。「リアルっぽい」(7頁)情報が多いので、つい「フェイクだって忘れてた」(7頁)ことになりそうな、今やそんなあやうい情報社会になっています。噂がうわさを呼び、どの情報を信じてよいのか分からなくなり、情報の海でおぼれそうになったり、混乱して不安になり、どこか静かで安心できる場所へ逃げ出したくもなります。この漫画小説は、アメリカの現代社会の生活状況をテーマに描かれています。物語は、次のようなプロットが淡々と延々と続きます。一番(4頁)最初、姉サブリナの実家。妹サンドラが仕事帰りに寄って話をしていく。二番(14頁)サブリナの恋人テディが、幼馴染の友人カルヴィンの家に泊めてもらう。三番(24頁)カルヴィンの職場は、コロラド州シャイアン・マウンテン近くの軍の地下壕。四番(34頁)カルヴィンの家の居間。テディとカルヴィンがビールとピザで夕食。五番(40頁)夕食中に、9.11同時多発テロから16周年のテレビ番組を観る。六番(42頁)再び、カルヴィンの家の居間でテディが酔いつぶれる。七番(46頁)その夜の夢。テディ、悪夢を見て大声で叫ぶ。八番(49頁)次の日の朝。カルヴィンの妻ジャッキーと娘のシシとテレビ電話。九番(52頁)カルヴィンのスマホに、妹サンドラから電話が入る。「サブリナのバスの定期券」(52頁)が入った手紙が両親の家に届いた、とテディに伝えて、との依頼。サブリナは、どこかで生きているのか?こんな調子のプロットが延々と、淡々と、はるかかなた205頁まで続きます。そして、最後の頁、205頁には、森の小道を一人で自転車を走らす女性の姿。行方不明だったサブリナに似た顔の女性(男性?)。自転車の後ろには小さなバッグが二つだけ。気楽で自由なサイクリングの一人旅のように見えます。ネット情報では、サブリナは殺されたのですから、こんな田舎道を自転車で走っているわけがないか?わけわかんない。妹サンドラと自転車旅行の話をする姉サブリナは、はじめのうちは「行っといでよ!」と自分は乗り気ではない様子でした。ところが、そのうち、「よさげじゃない。街から離れて、ネットからも離れて。」(10頁)と変わっていきます。サブリナのこころの中には、街から離れてみたい、ネットからも離れてみたい、という潜在的な欲求があったようです。行方不明となったサブリナは、インターネット上では勝手に<殺された>ことにされてしまいました。死体もないのに「サブリナ・ギャロ殺人事件」(123頁)なんて呼ばれる始末。人をも殺す、恐ろしいネット社会です。サブリナの妹や両親までが、サブリナは<死んだ>ものと思い込んでしまい、あきらめて葬儀を出してしまう始末。あきらめの良すぎる家族、世の中でしょう。言葉がありません。「サブリナが消えた」本当の理由は?最後の最後の「205頁」をご覧ください。ふむふむ。繊細で複雑な心理は、シンプルな描線の漫画で描き、抽象的、哲学的な内容は、吹き出しの文字で文学的に書いています。電子メールの場面では、<文字だけ>の文学的なコマになっています。この『サブリナ』は、グラフィック・ノベル。漫画の良さと、文字の小説の良さが結合・コラボして、独特の味わい深い、グラフィック・ノベルの世界が表出しています。何を述べるというのでしょうか。アメリカ社会にあふれる、男女の問題、夫婦の問題、軍隊の問題、銃規制の問題、9.11テロの問題、インターネット社会のフェイクニュース問題、ペット依存症の問題、老人問題などを、この本は描いています。どれもこれも解決の難しい問題ばかりです。個人的には優しくて思いやりのある、いい人達ばかりのアメリカなのに。なんでアメリカ社会にはこんなにたくさんの問題が絡み合ってこんがらがって、解決困難になっているのでしょう。「いったいどうすればいいの」(61頁)本書タイトルの『サブリナ』は、主人公の女性「サブリナ・ギャロ」(32頁)の名前。「27歳」(83頁)なのに落ち着いていて、おばさん風の女性。恋人は「テッド」。口絵のイラストは、サブリナのようです。左手の手のひらを(サブリナは左利き。13頁参照)カメラに向けて、さえぎるようにしています。ちょっとお、写すのやめて。ネットに投稿したり絶対にしないでよね!と言っているように感じました。何の変哲もない、退屈そうなサブリナの日々の場面から、物語は始まります。サブリナの仕事は、夜の仕事。誰もいない時間帯に建物の中を清掃する仕事らしい。妹のサンドラと何気なく、自転車で回る五大湖の旅の話をしていたサブリナ。ある日の朝、仕事から帰ってくる途中に行方不明になります。行方不明になってから「ひと月」(本書の「帯」より)、恋人「テディ・キング」(121頁)はすっかり腑抜け状態のようになってしまい、コロラド州に住む、幼馴染の友人カルヴィン・ローベルを訪ねます。カルヴィンの奥さんと娘は家を出て、フロリダに行ってしまっています。軍人カルヴィンの勤務地は、「コロラド」(173頁)州の地下深くに造られた、核兵器にも耐えられる軍司令部。日常生活に深く浸透しているスマホ情報。矛盾した情報も多く、それを信じるか信じないか、誰にも判断しにくい状況があります。一方、昔ながらのラジオ情報をテディは聞いています。「ずばり言おう。サブリナ・ギャロがティミー・ヤンシーによって殺されたのだとは、私は微塵たりとも信じていない。あの映像を信じられるわけがない。あんな事件が起こりうるとは到底思えない」(119頁)ラジオ・キャスターはずばり言ってます。テディも、同じように感じているのでしょうか。大昔、ラジオ放送が始まったころ、ドラマを流したら、聞いた人たちが本気にしてしまって大騒ぎになったことがあったそうです。スマホ情報とラジオ情報、どっちが信じられる?このようなラジオ番組の声は、耳で聞くだけで文字にはなりません。漫画小説では、うれしいことに<吹き出し>という便利な道具があります。画にはならない難しい内容を、詳しく文字で書き記して何度でも読むことができます。この漫画小説は何度も読み返していますが、読むたびに発見があり、興味が尽きません。

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