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中薬の配合

09/08/2020 00:12:46, , 丁光迪

によって 丁光迪
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内容紹介 臨床効果を上げる中薬配合の法則を解説。中薬理論と臨床を有機的に結ぶために必要な知識がふんだんに盛り込まれている。歴代の数多くの学説を整理・総括したうえで,著者自身の豊富な経験も紹介。読むほどに味わい深く,中医学の真髄に触れることができる。中国では中医薬系大学院生の必読書として増刷を重ねる名著。 著者からのコメント 中薬が臨床で使われる場合,その多くは「薬の組み合わせ」として使われます。それは何の意図もない羅列ではありません。そうした組み合わせはどれも,明確な意図のもとに緻密に構成されているものなのです。そして薬を合わせて使う方法には,長い歴史があります。古代の書物である『神農本草経』名例は「薬には七情というものがある......薬は単味で使用することもできるが,多くは合わせて用いる。そして合わせて使う場合,薬同士には相須・相使・相畏・相悪・相反・相殺などの関係が生まれる。薬を使おうとする者は,こうした七情について総合的に理解していなければならない。相須・相使の関係で薬を使うのはよいが,相悪・相反の使い方をしてはならない。しかし有毒薬を使う場合は,相畏・相殺の関係で使うこともできる。そうでない場合は使ってはならない」と述べています。また「薬は君臣佐使を明確にして,適切に使うべきである」「薬には陰陽に従った子母兄弟による合わせ方もある」という論述もあります(『本草綱目』序例)。これらの論述は,薬の合わせ方に関する最初の規範といえるものです。『黄帝内経』には,酸・苦・辛・鹹・甘・淡による五味を重視した薬の組み合わせ方が述べられています。それは辛甘による発散,酸苦による涌泄,鹹味による涌泄,淡味による滲泄などを,五臓の病証に応じて使い分ける方法です。金代の劉完素はこの方法を発展させ「物にはそれぞれ性が備わっている。方剤を組成するとは,必要に応じてこの性を制御したり,変化させたりすることで無限の作用を引き出すことである」と述べています。全体の流れとしては,まず『黄帝内経』『傷寒論』などの経典が,薬の組み合わせに関する比較的完成された理論や法則を提示しました。そこには四気五味・昇降浮沈・虚実補瀉などの内容が含まれています。その後,『黄帝内経』や『傷寒論』の提示した方法を基礎として,臓腑標本・帰臓帰経・引経報使などの学説が起こりました。歴代の本草書や方書が述べている理論や,現代の中薬学・方剤学などの内容は,どれもこうした理論や学説をもとにして,さらに発展を加えたものです。前者と後者の違いは,前者が単味薬の特性を中心とする理論・方法であるのに対し,後者は方剤の組成法に重点を置いた理論・方法であることです。そして本書の内容は,両者の中間に位置するものといえます。具体的には,薬の合わせ方を中心として,薬を運用する際や方剤を組成する際の内在的な決まりごとについて述べています。それは中薬学の内容と方剤学の内容を柔軟に結びつけ,実用性を重視してわかりやすくまとめたものです。そしてそれらの内容は,すべて私の臨床経験の結晶といえるものです。ただし執筆にあたっては,多くの大家が残した理論や方法を借りて説明をしています。そうした内容も,次の世代へきちんと伝えたいと思うからです。特に『本草綱目』『本草綱目拾遺』『名医方論』などの内容について多くを述べています。清代の厳西享・施澹寧・洪緝菴らがまとめた『得配本草』も,薬の組み合わせに関する専門書ですが,組み合わせ方を紹介しているだけで,その背景となる理論や機序などについてあまり解説をしていません。これでは深い理解を得ることはできません。本書は,筆者の長年にわたる臨床や教学の経験と,歴代の用薬法に関する研究をまとめたものです。その内容は,中薬の運用法について理論から実践までをわかりやすく結びつけたものとなっています。そしてそこには歴代の大家の成果や民間に伝わる方法などが十分に反映されています。薬の組み合わせ方に関する,完成度の高い実用的な参考書といえます。具体的には「四気五味」「昇降浮沈」「虚実補瀉」「臓腑標本」「帰経引経」「方剤組成」などの角度から解説をしています。いずれの場合も,中薬理論と臨床実践を有機的に結びつけたうえで解説を行うことに努めました。個人の能力の限界や時間的制約などもあり,本書の内容にはまだ足りない部分も多くあります。また数々の疑問点も存在することと思います。本書を読まれた方には,ぜひ忌憚のないご意見をお寄せいただきたいと思います。それらの貴重な意見を参考にして本書の内容を修正し,さらにレベルの高いものに作り変えていくことができれば幸いです。この本を読まれる方にお断りしておきたいことが2つあります。1つは本の中で引用している方剤についてです。『傷寒論』『金匱要略』『本草綱目』『証治準繩』『景岳全書』や現在の教科書などから引用した方剤については,紙幅の都合もあり,多くの場合出典を明記してありません。もう1つは薬の用量についてです。本の中で紹介している用量は,原則として原書に記されている用量です。それはその時代の単位ですので,実際に使われる場合には,現在の用量に換算してから使用してください。本書の出版にあたっては,病身にもかかわらず原稿の監修作業をしてくださり,さらに本書の出版を薦めてくださった顧問の由崑氏に,心よりお礼を申しあげます。また人民衛生出版社の招きに応じてお集まりいただき,内容の修正のために多くのご意見をいただいた専門家の諸氏にも感謝の意を表したいと思います。さらに出版にあたっては,題字を中医司長(中央官庁における中医管理局の局長)である呂炳奎先生に書いていただくことができ,身に余る光栄であると感じております。 丁光 迪1981年11月 出版社からのコメント 中医学という世界は,とてつもなく広い世界です。しかし,その広さをよく知っている人は,専門家の中にも,そう多くはいません。とにかく広すぎるので,ちょっとやそっとでは,知ることができないからです。そしてこの本は,中医学の広さを垣間見せてくれる,すばらしいガイドといえます。ためしに,巻末の「方剤索引」を見てみてください。おそらく聞いたこともない方剤が,ごろごろしているはずです。それは,訳者である私も同じでした。この本には,中医薬大学を卒業したとか,長年臨床に携わっているとか,そういうことだけでは知りえないことが,たくさん書いてあります。自分で興味をもって研究を続けない限り,こういう事柄を知ることはできません。そしてこの本の著者である丁光迪先生は,そうした努力をずっとつづけてこられた方です。また丁先生には,その膨大な知識を裏づける,長年の臨床経験もあります。さらにベテランの教授でもある丁先生は,何をどう伝えるべきかということも,知り尽くしていました。つまりこの本は「丁光老をおいて,ほかに誰がこれだけのことを語れるだろうか」という,20世紀中医界における大偉業なのです。つたない翻訳ではありますが,日本で中医学を学ばれる方にも,ぜひこの貴重な内容に触れていただきたいと思います。また学問や文化が発展するには,傑出した学者や芸術家がいるだけでは足りません。例えば明代以降の江南文化の知識は,かの大出版業者・毛晋(汲古閣楼の主)の功績によって普及したともいえます。江南文化における汲古閣のような役割を,日本の中医学の分野で果たしてきているのが,東洋学術出版社であると私は思っています。丁先生の本を日本で出版するということも,まさにその慧眼ぶりを証明するものです。このすばらしい仕事に,私も訳者として関わらせていただいたことを,たいへん幸せに,また光栄に感じています。自分が適任であるなどとは思いませんが,能力の限り努力させていただきました。そして最後に,同じ道を歩む「ひよっこ」として,丁光迪老師に心の底から尊敬の念を示させていただきます。 小金井信宏2005年8月 著者について 丁光 迪(てい・こうてき)1918年,中国江蘇省で中医師の家系に生まれる。17歳のときから,父の丁諌吾氏について中医を学ぶ。20歳で独立し,開業。当時は疫病が流行していたが,努力の末,効果的な方剤を創作し,多くの病人を救う。中華人民共和国の建国後は,南京中医学院で教鞭をとり,講師・教授・大学院(博士課程)の指導教官などを歴任する。講義した学科は『中医診断学』『方剤学』『金匱要略』『中医内科』『中医各家学説』など多岐に及ぶ。またこれら5教科の教科書の編纂にも主編(編集の最高責任者)として参加する。このほか『諸病源候論校注』『東垣医集』などの主編も務める。個人の著作としては『中薬配伍運用』(本書)『東垣学説論文集』『金元医学』『諸病源候論養生方導引法研究』などがある。また教学活動だけでなく臨床研究にも尽力した。特に時疫病・脾胃病・婦人病などの分野で功績をあげ,中医界で高い評価を受けている。全国的に有名な中医学の専門家。
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以下は、中薬の配合に関する最も有用なレビューの一部です。 この本を購入する/読むことを決定する前にこれを検討することができます。
この本は漢方薬の生薬配合理論を中医学の観点から述べた本であり、なぜこの薬物と薬物が一緒に配合されるのか、その意味がよく理解できる本である。日本漢方では、今ひとつ理論が一般化されておらず、病理や方剤学など理解しにくいものであるが、中医学の理論は一般化されているので、なるほどそういう意味でこの薬物と薬物を組み合わせて使うのかということがわかる。また、この本ではよく使用される薬物をチョイスして、その薬物がそれぞれの方剤でどういう意味あいで使われているのかも教えてくれる。薬物には四気五味といって寒熱・味がその性質をあらわすのだが、その四気五味の理論で組み合わされている薬物の組み合わせの章や、升降浮沈という薬物の方向性で組み合わせている薬物の組み合わせの章など、様々な理論によって薬物が組み合わされていることがよくわかるだろう。ひとつ例をあげるならば、四気五味による薬物の組み合わせの章の「辛甘発散」の例を紹介しておく。「辛甘発散」とは、発散性・発汗性のある辛みの薬物(麻黄・桂枝など)と辛みを緩和させる甘みの薬物(甘草など)を組み合わせて使うことで、発散性のある薬物による体力の消耗を防ぎ、発散性の作用を瞬間的ではなく長続きさせるためである。このように薬物と薬物の関係性が細かく説明されているので、大変有用な本である。ただし、中医学理論になれていないと、少々難しく感じるかもしれない。だが、このような薬物の組み合わせを説明している日本語の本は少ないので、ぜひ漢方を扱う人とならば、持っておきたい一冊である。

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